《連載》聞いてや、マッサン!#2「不退転の決意でビール屋に」

私、そんないい加減な気持ちで、日本に来てない。
マッサンの夢かなえるためでしょ!
私、そのために、国、家族、全部捨てた。

NHK連続テレビ小説『マッサン」第12回、エリーのセリフより

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はじめまして。
高知県日高村の「醸造所の社長」こと、さきちゃんです。

私たちは今、高知でスコティッシュビール醸造所の立ち上げ真っ最中です(2026年2月現在)。

本連載『聞いてや、マッサン!』では、現在(2025年12月末~)再放送中のドラマ『マッサン』のストーリーを出発点に、スコットランドのすばらしさや、今まさに進行している醸造所づくりの裏側を等身大でお届けします。

<人物の呼称について>
マッサン:ドラマ『マッサン』に登場する亀山政春のこと。
エリー:ドラマ『マッサン』に登場する、亀山政春の妻。
竹鶴さん:竹鶴政孝。マッサンのモデルで、ニッカウヰスキー創業者。
リタさん:竹鶴リタ。竹鶴政孝を支えたスコットランド人妻。

第2週『災い転じて福となす』

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画像:NHK ONEより引用

心を込めて料理を作るエリー(シャーロット)であったが、目を離した隙に大量の塩を鍋に入れる優子(相武紗季)の姿。そんな仕打ちを受けつつ、優子のマッサン(玉山鉄二)への思いを知るエリーは絶対に負けないと誓う。いじめられるエリーを思いスコットランドに帰ろうと言うマッサンにエリーは怒り、逆に励ます。祖国を捨て、日本へ来たエリーの強い覚悟を受け止めたマッサンは、大いなる夢に向かい再び走りだす決意をする。

NHKアーカイブス『マッサン』第12回EPG番組内容より

ドラマでは日本人のマッサンがスコットランドから妻を連れて帰りますが、我が家はその逆バージョン。スコットランド人の醸造士・ジョンが、私の故郷である高知県日高村にやってきました。

どうして私たちがジョンが日高村へ移住することになったのかは、3分の動画にまとめてありますので、よかったらご覧ください👇

退路を断って、腹をくくる

ジョンは私が見てきた誰よりも、スコットランドという国に誇りを持っていました。スコットランドは彼の一部であり、彼はスコットランドの一部です。

そんなジョンが、2018年に、私の故郷である日高村に「来たい」と言ってくれたのです。

「仕事もやめるし、家も売る。大学院で醸造学の勉強も始める」
「咲野が賛成してくれるなら、だけど」

当時41歳の、ジョンの大きな決断。

私たちはこうして、人口4700人のこの村で子育てをしながら彼の夢を追いかけることにしました。そして、仕事や所有していた家を整理し、コロナを経て、4年越しの2022年に移住を果たします。

「日本でもOK」は、私の心の安定剤だった

ここで、少し、私たちの出会いのストーリーを。

私たちが出会ったのは、スコットランドではなく、日本は岡山県。彼は岡山大学のEPOKという交換留学制度で約10か月、日本に滞在していました。当時、私は4回生。

私は彼に出会って間もない頃から、ああ、私はこの人と結婚することになるんだろうなと、漠然と感じていました。スコットランド訛りの英語がわからなくて、会話になっていないことが多々あったにもかかわらず…。

私「チャーリー、あの人がしゃべってるの、英語よね?私、全然わからなかったんだけど」
友「咲野、大丈夫!僕たちアメリカ人もわかってないから」

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2010年、岡山市のオージーバーで留学生と楽しむジョン

言語の問題(?)はあっても、なぜか留学生仲間から頼りにされていたジョン。飲み会という飲み会で、いつも最後まで生き残る、ジョンと私。カラオケ大好き、ジョンと私。

こう書くと全然ロマンチックではないですが(笑)
そんな雰囲気の中で、私たちは自然と一緒にいるようになりました。

付き合い始めたころ、私は彼に言いました。

「いつかは日本に、高知に帰ってきたいという想いを、わかってくれる人でないと一緒になれない」

ただしその真意は、彼に日本移住を約束してほしかったのではなく、それも選択肢の一つだよねと、ただ受け止めてほしかったんです。

でも、まさかジョンが、「この村でビールつくろうよ」と言ってくれるなんて。当時の私は、想像だにしていませんでした。

日高村の風景の中に、ジョンのつくるビールがある。そんな光景は「想定外」の幸せです。

ドラマに登場するスコットランド料理「スコッチブロス」

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寒いスコットランドには欠かせない、栄養満点のスコッチブロス

そういえば、今週の『マッサン』ではエリーがスコッチブロス(Scotch Broth)を作っていました。

このスープは、スコットランドの家庭で古くから愛されている「おふくろの味」、日本でいうお味噌汁のようなソウルフード。

実はこのスープ、私たちビール屋にとってもすごく親近感がある料理。 なぜなら、メインの具材が大麦(バーリー)だからです!

羊肉や牛肉、そして日高村でも採れるような根菜をコトコト煮込み、そこに麦のプチプチした食感が加わる。栄養満点で、心もお腹も温まる、スコットランドの知恵が詰まった一杯です。

ジョンが時々作ってくれるのですが、寒い時には体にしみるお料理です。

最後に

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2025年10月、醸造所用地を見つめるジョン

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

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最高の一杯を目指して。日高村より。

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