2019年11月、長年の準備を経て、私はついにホームブルーイング(自家醸造)を始めました。 当時、私はすでにエディンバラの醸造所で友人と仕込みを経験し、大学の醸造プログラムについても学んで、9年以上クラフトビールを飲み続けてきた「熱心な消費者」でした。
当時はITコンサルタントとして働き、父親としての忙しい日々を送っていましたが、限られた自由時間の中で「醸造」という未来のキャリアに向けたトレーニングを始めたかったのです。
2022年に日本へ移住するまでに計30回の醸造を行いましたが、そのプロセスの多くをブログに記録していました。
恥ずかしくも大切な「学びの記録」
今、当時のブログを読み返すと少し恥ずかしくなります。しかし、失敗から学び、その経験を共有することこそがブログの目的でした。 私の醸造の基礎は、レシピ本やウェブサイトでの独学、そして自宅での実践、そしてその「成果物」を味わうことによって築かれました。常に素晴らしい味だったわけではありませんが、そのすべてが血肉となっています。
ここまでのブログ記事をすべて翻訳するつもりはありませんが、私の個人ブログの方にDeepLで自動翻訳したバージョンを掲載しています。
Brewshido Jon Kelbie | Brewshido jon.kelbie.scot
本格的な設備への投資:Grainfatherの導入

多くの人は安価な道具や自作の設備から始めますが、私は時間が限られていたため、商業用設備のミニチュア版ともいえる「Grainfather」のオールインワン・システムに投資しました。マッシングから沸騰まで一台でこなせるこのキットに加え、円錐形発酵槽やグリコールチラーも導入。妻・咲野の快諾を得て2基目の発酵槽を買ったことで、醸造の頻度と学習スピードは一気に加速しました。
私は当初から瓶詰めではなくケグ(樽)詰めを計画していたため、ケグレーター(サーバー冷蔵庫)も購入しました。直後にコロナ禍となったことを考えれば、これは非常にタイムリーな決断でした。
ホーム醸造キットに関する詳細は、当ブログの最初の投稿(こちら)からご覧いただけます。
工程の習得:キット醸造からクローンレシピへの挑戦
最初は体系的に学ぶため、地元のショップからプリパッケージ・キットを取り寄せていました。中身はラベルのない「謎の」麦芽やホップでしたが、あえて詳細を気にしないことで、温度管理や休止時間の違い、ホップ投入のタイミングといった「醸造工程」そのものに集中できたのです。

もちろん、手痛い失敗もありました。「El Dorado NEIPA」を仕込んだ際、洗浄・消毒の不手際により、香りは素晴らしいのに、喉が溶けるような刺激があって到底飲めないビールが出来上がりました。当時はパニックになりましたが、この経験から清掃や記録の重要性を痛感しました。

その後、既存レシピの再現(クローン)に挑戦する段階へと進みました。特に印象深いのは、BrewDogの「Alice Porter」の再現です。バニラのような風味の正体が、実はバニラビーンズではなく、日本産のホップ「ソラチエース」の絶妙な投入タイミングによるものだと知った時は驚きました。私の作ったバージョンは本物とほぼ同じ味に仕上がり、それが20Lもタップから出てくる体験は、何物にも代えがたい喜びでした。

自分のスタイルを築く:料理の経験と「不完全さ」の哲学
やがて、自分自身でレシピを設計し始めました。私が選んだのは、幼少期から馴染みのある「スコティッシュ・エクスポート」と「スタウト」というスタイル。既存のレシピを微調整しながら、材料や温度がどう影響するかを徹底的に叩き込みました。

また、ホップの知識を深めるためにSMaSH(単一麦芽・単一ホップ)のIPAも造りました。ホップの種類は膨大ですが、優れたWebサイトや書籍を活用することで、レシピ開発はぐっと楽になりました。
自家醸造の収穫:技術と自信、そして哲学
自家醸造から学んだ教訓は、単なる技術的な知識にとどまらず、プロの醸造士へと続く道のりにおいて非常に重要なマインドセットを形作ってくれました。
私が自身の経験から得た主な教訓は以下の通りです。
1. 「失敗」は最大の学習機会である
初期の頃は、温度が数度ずれたり、工程が予定より遅れたりするたびにパニックになっていました。しかし、完璧に進まなかった時こそ、なぜそうなったのかを分析する絶好のチャンスです。予期せぬトラブルから、当初の計画よりも面白いビールが生まれることもあります。
2. 記録(ログ)の徹底が安定を生む
清掃や消毒のミスでビールが飲めなくなった経験から、「何をしたか、何をどれだけ使ったか」をすべて記録することの重要性を学びました。詳細なメモがあれば、成功した理由も、失敗した原因も正確に把握でき、同じミスを繰り返さないための資産になります。
3. キッチンでの感覚は醸造に直結する
料理で培った「味を構築するセンス」や「食材の組み合わせ」の知識は、そのままレシピ設計に活かせることを発見しました。醸造は科学であると同時に、クリエイティブな調理の延長線上にあるという確信を得られたことは大きな収穫でした。
4. 基礎(プロセス)を固めてから応用へ
最初から複雑なオリジナルレシピに挑戦するのではなく、まずは既存のキットやクローンレシピで「醸造のプロセスそのもの」を身体に叩き込むことの大切さを知りました。基礎ができていれば、独自の工夫を加えた際の変化がより鮮明に理解できるようになります。
5. 「教えること」で自分の理解が深まる
友人や家族と一緒に醸造し、工程を説明する機会を持つことで、自分の中の曖昧だった知識が明確になりました。誰かに教えるというアウトプットこそが、最強のインプットになるという教訓です。
6. 不完全さの美学
完璧を追い求めるあまり、細かいことに悩みすぎるのは逆効果な場合もあります。「不完全さの中にこそ個性が宿る」という柔軟な視点を持つことで、醸造家としての自信と余裕が生まれ、より自分らしいビール造りに繋がりました。
最後に
自分たちの醸造所でプロの醸造士として歩み出そうとしている今、あのホームブルーイングの経験がなければ、今の私はここにはいなかったと確信しています。
クラフトビールへの情熱を原動力に、私は数え切れないほどの失敗を重ねてきました。しかし、それらの失敗があったからこそ深い分析ができ、知識が増え、そして結果として(多くの場合!)非常に美味しいビールを造ることができました。
当時はもっと肩の力を抜いて細かなことを気にせずにいれば良かったとも思いますが、逆に、あの時必死に悩んだことが今の自信に繋がっているのかもしれません。
日本に移住する前にスコットランドで仕込んだ30回の醸造経験には、心から感謝しています。そして、次なるステップに胸を高鳴らせています。

もし、あなたがプロの醸造士になりたいと考えていて、自宅での醸造が許される環境にいるのなら、迷わず挑戦してみてください!
もし日本のようにそれが叶わない場所にいるのなら、地元のクラフトビール醸造所に連絡を取ってみてください。インターンとして、あるいはパッケージングや清掃の手伝いからでも構いません。実際に現場で手を動かすことは、技術的なノハウだけでなく、自分自身への自信を築くために何よりも重要なことです。
クラフトビール業界の人々は、皆同じような道を通り、情熱を持って今の場所にいます。できたら彼らはきっと、ビール造りに熱意を持つ人を応援し、助けてくれるはずです。
私はまだ醸造士とは言えませんが、あと少しというところまで来ています。醸造を開始したら、生涯をかけて技術を磨き、失敗から学び、完璧を追求していきたいです。
どうかこの旅路に、皆さんもご一緒ください。





