怒涛の仕込み第1週(中編)

想定外の大洪水とカメラ前の大惨事

皆さん、こんにちは!プロのブルワーとして駆け抜けた「激動の第1週間」を振り返るレビューの中編です。

初日、気難しいモルトミルや突然の液漏れと戦い、13時間半のシフトを終えた私。週末に家族と過ごして英気を養い、満を持して2日目と3日目に臨みましたが、ここからさらに予想外の「大トラブル」が連鎖することになります。

仕込み第2日目:想定外の大洪水

初日の失敗から何としても学ぼうと、私は高い集中力を持って仕事に臨みました。醸造所には自分一人だけ。気分は最高でした。

モルトミルには全く新しいアプローチを採用した結果、粉砕の遅れはほぼゼロ。挽き具合はまだ手探りでしたが、もし「次の大失敗」をやらかしていなければ、間違いなくマッシュ後の目標比重に届いていたはずでした。

事件が起きたのは、オーガーからマッシュタンへ麦芽が投入される瞬間です。麦芽を湿らせるための温水ポンプをオンにしたのですが、前日のCIP(定置洗浄)の時のまま、ポンプ速度を調整するのを忘れていました。速度は本来の設定よりも遥かに高速になっていたのです。

私がミリング室で「あと10〜20Lくらい水が混ざるだろう」と暢気に構えている間、マッシュタンには凄まじい勢いで湯が注がれていました。気づいて駆けつけた時には時すでに遅し。すべての麦芽が投入されただけでなく、予定よりも300リットルも多くの温水が溜まっていました。

これほど希釈されると、デンプンを糖へと分解する酵素の働きが鈍くなります。幸い、1時間の休止が終わる頃には、ヨウ素テストでしっかり糖化されていることが確認でき、先へ進むことはできました。

しかし当然、目標比重からは程遠い状態。これを挽回するには、数百リットルの余分な水分を「蒸発」させるしかありません。結果、実に4時間に及ぶ猛烈な煮沸を強いられることになりました。ただ、これは醸造所の蒸気処理能力をテストする「予期せぬ絶好の機会」にはなりました(将来的な改善の余地は大ありです!)。

この大ミスを除けばその後のプロセスは比較的スムーズで、発酵タンクへの移送量も初日より遥かに目標値に近いものでした。

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サイトグラス越しに見える、いかにもスコティッシュな色合い

ところが、一難去ってまた一難。洗浄フェーズでは、翌日の仕込みに備えて重い洗浄カートを移動させようとした際、長い電源ケーブルを緩め忘れたまま前進させ、壁の電気ジャンクションボックスを丸ごと引きはがしてしまいました。ありがたいことに、これは簡単に修理できるレベルでしたが……。

この日は朝8時に始まり、疲れ果てて帰宅したのは夜の23時15分。一連の仕込みの中で、最も長い一日となりました。

仕込み第3日目:テレビカメラの前でスプレー噴射

3日目、仕込み前にミリングマシンを微調整したものの、まだ納得のいく状態には程遠い。またしても糖化後の比重目標を外し、予定より長い煮沸を強いられました。最終的な比重も数ポイント下回ってしまいましたが、まあ、それくらいはまだ可愛いものです。

本当に大変だったのはここからです。この日は特別に、地元のテレビ局のカメラクルーが取材に訪れていました。注目していただけるのはありがたいのですが、そのぶん「良いところを見せなければ」というプレッシャーはマックスに。しかも事前に「仕込み室の外から撮影します」と聞いていたのに、いざ始まってみるとガッツリ至近距離での撮影でした。

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マッシュタンの内部にズームインする、地元テレビ局のカメラ

そんな緊張感の中、この日のレシピは前2日間に比べてホップや副原料が格段に多いものでした。そのため、ワールプールと移送のルートを「ホップバック(35Lのフィルター付きタンク)」に通す計画を立てていました。内蔵フィルターが詰まることを見越して、大型のセカンドフィルターとして活用しようとしたのです。

ところが、ホップバックの蓋のシリコンシールが正しく装着されていませんでした。ポンプで熱い麦汁が送り込まれ、内部の圧力が上昇したその瞬間、麦汁はタンクの蓋の上から凄まじい勢いでスプレー状に噴射し始めたのです!

そして、この大惨事の一部始終は、もちろんテレビカメラにバッチリ生々しく捉えられていました。ただでさえ緊張していた私のストレスレベルをさらに跳ね上げるには、これ以上ない最高のシチュエーションでした(笑)。

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仕込みを待つ、新鮮で美しい地元産の副原料

発酵させる麦汁無しの危機と地元メディアの視線に晒され、心と体はサバイバルモードへ。瞬時にポンプを止め、安全に圧力を抜き、熱々のホップバックを開けてズレていたシールを装着し直し、システムを再起動。ありがたいことに、その後はトラブルなく移送を終えることができました。

しかし、最後にこの日最大の頭痛の種が待っていました。自作したカスタム排水処理システムに、許容量を超える大量の液体が流れ込み、処理が追いつかなくなってしまったのです(折悪しく、外では本物の台風が猛威を振るっていました)。

大量の水を使う激しい洗浄サイクルを行えないと判断し、翌日に予定していた最後の仕込みを24時間延期するという苦渋の決断を下しました。

翌朝、醸造所へ入り、最終日の仕込みに備えてすべての設備を徹底的に深部洗浄しました。

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ブルワーのリアル。ひたすらCIP(定置洗浄)!

数々の大惨事を経て、排水パンクによる足止めを食らった3日目。残すは最終日、4回目の仕込みのみ。しかし、このカオスの先に、最高のカタルシスと、文字通り「体ごと投げ打つ」最後の衝撃が待っていたのです。

(後編へ続く)

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